2005. 12. (9歳)
作・U坊 リライト・Umiko
その迷子の子は、自分がなぜここにいるかもわからず、ただ、その長い長い道を歩いていました。
どうしたらいいのかわからないので、とりあえず泣いてみました。
泣きながら、道を歩いていると、木がたくさん茂っている森に入りました。
迷子の子は、木にたずねてみることにしました。
「ねえねえ木さん、ここどこだかわかる?」
しかし、木は何も言わず、サワサワと風に揺れるだけでした。
木が何も言ってくれないものだから、迷子の子はまた泣きながら森を歩いていきました。
すると、小鳥が飛んできました。、
迷子の子は、小鳥にたずねました。
「ねえねえ鳥さん、ここがどこだかわかる?」
しかし、鳥は何も言わず、チュンチュンチュン・・・と鳴きながら飛んでいってしまいました。
鳥が何も言ってくれないものだから、迷子の子はまた泣きながら森を歩いていきました。
今度は落ち葉が落ちていました。
迷子の子は、落ち葉にたずねました。
「ねえねえ落ち葉さん、ここがどこだかわかる?」
しかし、落ち葉は何も言わず、ガサゴソ音を立てながらそこにいるだけでした。
落ち葉が何も言ってくれないものだから、迷子の子はまた泣きながら森を歩いていきました。
泣きながら歩いていくうちに、森を抜けていました。
そこには、灰色の道がありました。道の上を妙なものが走っていました。
何か硬いもので出来ていて、足の代わりに丸いものが4つついていて、それがクルクル回りながら動くのです。上の方は、透明な薄いものでできていて、中が透けて見えました。
迷子の子はそこからのぞき込んでびっくりしました。
中にいるのは、人間だったのです。
迷子の子は、なぜだかわからず怖くなり、また泣き出しました。
すると、青い妙なものを頭にかぶり、妙な服を着た人間が来て、迷子の子にたずねました。
「やあ君、どうしたんだい? こんなところで」
人間がしゃべっています!
人間が動いています!
迷子の子は怖くなって、ただ泣き続けました。その人間が
「おい、どうしたんだ」
と言って近づいてくるので、迷子の子は逃げ出しました。
人間の姿が見えなくなるまで、夢中で走りました。
しばらく走っていくと、女の子はいつの間にか自分の家の前にいました。
「おかえり」
木が言いました。
「おかえり」
小鳥が言いました。
「おかえり」
落ち葉が言いました。
「私、迷子になっちゃったの」
女の子は言いました。
「それは怖かっただろうね。よし、これから美味しいスープを作ってあげるよ」
木が言いました。
そして、木は近くに生えていた人間を引っこ抜いてきて、毒がないか調べてから、大きい鍋で人間のスープを作りはじめました。
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