2005. 10. (9歳)
作・U坊
朝、目が覚めたら、むしゃむしゃになっていた。
もう一度寝たら何かわかるかもしれないと思って、ベッドに戻ろうとしたらベッドがない。どうやらベッドを食べてしまったようだ。
「YN~、起きなさい」
階下から母・KNの声がする。
「会社へ行く時間よ」
しかたなく立ち上がって下りていこうとした。しかし、部屋のドアの鍵を食べてしまったようだ。そこで、ドアを食べて外に出た。
深呼吸をしたら治るかもしれないと思って、玄関の外に出た。しかし、むしゃむしゃは治らない。
「YN~、何してるの」
母・KNがやってきた。
「あら、あなた、むしゃむしゃになってるわよ」
「わかっているよ、母さん。なっちゃったんだ」
「そう、とにかく早く会社に行かないと遅れるわよ」
バス停に行って、バスに乗った。バスが会社に着くまでに、いろいろなものを食べた。回数券、カード、お金、そして、バスのドア。
会社に着いたら、課長HNから
「お、YN、今日はむしゃむしゃだな」
と言われた。
「仕方ないんですよ。なっちゃったんです」
「そうか、じゃあこの仕事を今日中にやっといてくれ」
昼食の時間になった。いろいろなものを食べた。そして、気がついたら夜になっていた。
退社の時間までになんとか仕事を終えて、帰ることにした。エレベーターのボタンを押したら、エレベーターのボタンも食べてしまった。
仕方ないから、エレベーターのドアも食べたら、勢い余って下に落ちてしまった。ちょうど下からエレベーターが上がってきて、その上に落ちてしまった。
チーン。
「おい、今、上でドスンという音がしなかったか?」
「気のせいだ、気にするな」
そんなことを言いながら、中の人が下りていった。
チーン。
「下へまいります」
チーン。
「一階です。上に上がり・・・」
そこまで聞くと、エレベーターの天井を食べて、ドアを食べて、なんとか一階に出た。
ようやく家にたどり着いた。母・KNから
「今夜はもう寝なさい」
と言われた。
「はーい、歯を磨いてきます」
しかし、歯を磨こうとしたらハブラシとハミガキを食べてしまった。しかたなく、そのまま上に行き、ふとんに潜り込んだ。
そして、明日にはむしゃむしゃが治ってることを祈りながら、眠った。
次の朝、起きてみると、もしもしになっていた。
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