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2004. 1. 14(9歳)
作・U坊/リライト・Umiko




第1部 トラの旅


ある学者が、トラの研究をしていました。

研究のために、トラとまったく同じロボットを作りました。肉食で、人も食べます。でも、博士は、自分のことだけは食べられないようにセットしておきました。

ところが、研究室から逃げ出さないようにプログラミングすることを忘れていました。

トラは逃げ出しました。

トラを追いかけようとした博士は、あわてて研究所から走り出しました。ところが、その時、走ってきた車にはねられてしまったのです。博士は、死んでしまいました。





逃げ出したトラは、人をどんどん襲いました。

トラは、自分がロボットだと気づいていません。自分の生みの親を探そうと思っていたのです。




トラはまず森に行きました。森の中に、ワシがいました。ワシなど見たことがなかったトラは、びっくりしました。ワシは、トラに気づかずに飛び立っていきました。

もっと奥に行くと、木こりがいました。トラは木こりを食べました。

さらに進むと、家がありました。ドアを壊して家の中に入ってみると、みすぼらしい服を着た女の人がいました。

女の人は、キャーッと叫んで逃げようとしましたが、トラは逃さず食べてしまいました。




次にトラは、海に行きました。

波打ち際を歩いて探してみましたが、そんなところにトラはいません。次に、乾いた砂を掘ってみたけど、やっぱりそこにもいませんでした。

浜辺で釣りをしている人がいたので、捕まえて食べました。




今度は山に行きました。

もう夕方です。山の中は、真っ暗でした。ここならいるかもしれないと、トラはあたりを探してみました。

探しているうちに、フクロウを見つけました。トラは、木に登って、フクロウを食べました。




木から下りて、もっと山奥へ行ってみました。そこにも人間一人いません。お腹が空いたトラは、いつの間にか倒れていました。

18時間ほどして、トラは起きあがりました。

もう少し行くと、崖がありました。トラは、崖を上ってみることにしました。

途中に蛇がいました。トラは不思議に思いながら、食べてみました。ちょうどいい朝ご飯になりました。




崖を上り続けて、とうとうてっぺんまで来ました。そこは、世界一高い崖でした。高さ5万メートル9センチ18ミリありました。そんな高いところから見ても、トラの生みの親は見あたりません。

トラは、あきらめて、崖から折り始めました。ところが、しばらく下りていくと、上から大きな岩が降ってきて、トラの体に当たりました。

トラは粉々に壊れてしまいました。





第2部 旅の終わり

天使が下りてきて、バラバラになったトラの部品を天国に持って帰りました。

天国で、ロボットだったトラは、本当の命をもらいました。そして、人間として生まれ変わることになりました。

ところが、天国には、交通事故で死んだ博士もいました。生きている間に、トラの研究ばかりしていた博士は、今度は、トラとして生まれ変わることになりました。




トラになった博士は、なぜだか、他の生き物の肉を食べて生きたくないと、強く思いました。そこで、試しに草を食べてみたら、意外と美味しかったのです。

こうして、博士だったトラは、「草食トラ」になったのです。




人間に生まれ変わったトラは、なぜだかトラのことばかり考えて暮らしていました。そして、ついにトラの研究をする博士になりました。博士は研究のため、トラのロボットを作りました。

トラロボットは、生みの親を探して、研究室を逃げ出しました。追いかけようとした博士は、車にひかれて死にました。

逃げ出したトラも、二日間森や海や山をさまよった後、岩につぶされて死にました。




天国で、博士は草食トラになり、トラは人間の命をもらい、トラを研究する博士になりました。

研究のため、博士はトラのロボットを作りました。トラのロボットは逃げだし、追いかけようとした博士は交通事故で死に、トラは博士に、博士は草食トラになり、こうして、同じ話がぐるぐると続いていくのです。




世界に、草食トラがどんどん増えていきました。草食トラはまわりの植物を食い尽くし、とうとう地球から植物がなくなってしまいました。

草食トラは絶滅しました。

博士は、次々とロボットトラを作り、そのロボットトラは研究所を逃げ出して、動物を食べ続けました。こうしてついに、地球上の動物がいなくなってしまいました。

博士は、自分だけはロボットトラに食べられないようにセットしておきましたが、動物も植物もいなくなった地球で、自分だけ生きていくことはできません。

とうとう博士も死んでしまいました。もう生まれ変わることも、ロボットトラをつくることもありません。



こうして、世界が終わるまで、トラのロボットは、生みの親に会うことができませんでした。

それは、自分だったからです。